研究実績の概要 |
【研究目的】 持続的な身体活動を維持するためには, 心肺と筋が連動して活動に必要な酸素を供給し続けなければならないことが報告されている. 本研究では, 造血幹細胞生着時点での体力低下を, 筋, 心, 肺機能障害の3つの要素で調査することを目的とした. 生着直後に生じている患者の体力低下と機能障害の関連性を明らかにすることは, 臨床で取り組むべき運動療法の方法が特定できるため, 患者にとって大変意義深いものと考えられる. 【研究方法】 移植後の体力は自転車エルゴメータを用いてRamp負荷試験(1分ごとに10W負荷が増大し, 50回転維持できなくなれば終了)を実施し, 患者の仕事量(W)と運動負荷による心拍数の変動(△HR)を評価する. 同日に, 近赤外線分光法を用いて前脛骨筋の運動後の筋酸素飽和度の振幅(△StO2)を測定とスパイロメータを用いて肺活量(%VC)を測定する. 身体機能の測定は移植前と移植後生着時点(移植後約3週後)に無菌室内にて実施した. 測定によって得られたWと△StO2(筋), △HR(心), %VC(肺)の低下率との相関関係を調査した. 【研究結果】 今回の調査では, 移植後にW, △StO2, △HR, %VCは低下せず. 移植後の生着時点での仕事量の低下率と△StO2, △HRと%VCの低下率に相関関係は認められなかった.
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