研究課題
基盤研究(A)
本研究では、素粒子標準理論を超える新しい物理により予言される、テラ電子ボルトより高いエネルギーでの現象を検知する検出器の開発を目指した。メガ電子ボルト領域での既知の素粒子反応における異常現象を検知することで、量子効果を介して間接的に調べる実験を計画しており、そのための軽量化飛跡検出器を開発した。低いエネルギーでの反応は、検出器の構成物質によりクーロン多重散乱されてしまい、入射粒子の位置検出精度が制限されてしまう。本研究では導電性薄膜を超音波溶着技術で成形した軽量化比例計数管を作成し、これを真空中で動作させることで実現した。これにより、ミューオンによる新物理探索実験の検出器開発が完了した。
本研究で開発した素粒子飛跡検出器は、真空中で動作可能な導電性薄膜比例計数管で、現在世界で最も軽い飛跡検出器である。低いエネルギーでの素粒子反応を精密に検知するには、粒子の飛跡が検出器の構成物質で散乱してしまう影響を抑制することが肝要であり、本研究の成果はその低物質量化の世界記録を達成したことに相当する。この飛跡検出器は、今後ミュー粒子崩壊の精密測定実験で用い、素粒子物理の新展開を目指す計画である。
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すべて 国際共同研究 (13件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 958 ページ: 162800-162800
10.1016/j.nima.2019.162800
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