研究課題
基盤研究(A)
炭化シリコン(SiC)半導体を対象に、電気活性原子を半導体中に導入するための新しい手法を考案し、その製造技術への応用可能性を研究した。半導体を導入したい元素を含む溶液中に浸した状態、あるいは半導体表面を導入元素を含む薄膜で被覆した状態でレーザー光を照射する方法である。研究の結果、原子の導入機構について多くの学理的知見を獲得すると共に、従来法に比べて大幅に縮減した工程で高い濃度の原子を炭化シリコンの表面に導入でき、領域選択導入を利用したダイオードの製造が可能であることを示した。また、トランジスタの電力損失の要因である金属配線との接触抵抗を従来法に比べて1/100程度まで低減できることを示した。
地球環境問題を背景に、自動車等のモビリティーの電気動力化に向けた技術開発が急速に進むと共に、電力制御機器の一層の小形化・高効率化に対する要求が高まっている。炭化シリコン(SiC)等のワイドギャップ材料を用いた半導体素子は、これらの要求に応えるために有効であることが実証されつつある。本研究はレーザーを用いた半導体中への電気的活性原子の新しい導入法に関する調査を行ったものである。その成果は、この新規方法が革新的な素子製造技術の創成ならびに素子動作の一層の高効率化に有効に活用できることを示すものである。
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