研究課題
基盤研究(A)
動物の個体発生は、種々の撹乱のもとでも正確な組織・器官を形づくるロバストなシステムである。発生中の生体が様々な撹乱に対処して正常発生を維持する際、発生の時間軸に一時的な異常(時間軸の歪み)が生じ、これが何らかの機構で補正されることで発生ロバストネスが実現されると考えられる。本研究では、ショウジョウバエの発生過程で時間軸に歪みが生じた際、これを補正する細胞集団挙動「細胞ターンオーバー」が誘発されることを発見し、モルフォゲンWgや発生遅延によって誘発されるその分子基盤を明らかにした。
動物の個体発生は、時間軸に沿った三次元構築のプロセスである。したがって、発生時間軸の異常は、組織・器官の正確な構築過程に重大な影響を及ぼしうる。本研究では、ショウジョウバエ変異体をモデルとして用いた解析により、発生過程で時間軸の異常が生じた際に組織中で細胞死と細胞増殖が亢進する「細胞ターンオーバー」が起こり、これにより正常発生が維持されること、またこの細胞ターンオーバーの分子機構を明らかにした。本研究は、発生ロバストネスを支える細胞間コミュニケーションの新たな概念を示唆するものである。
すべて 2019 2018 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 9件、 招待講演 6件) 備考 (2件)
Dev Growth Differ
巻: 60 号: 9 ページ: 522-530
10.1111/dgd.12575
Genes to Cells
巻: 23 号: 3 ページ: 234-240
10.1111/gtc.12568
Developmental Cell
巻: 39 号: 6 ページ: 683-695
10.1016/j.devcel.2016.11.015
http://www.lif.kyoto-u.ac.jp/genetics/