研究課題
基盤研究(B)
一つの細胞が増殖し内部状態を多様化することに伴って形成される細胞集団の空間パターンについて、本研究により、数理モデルと実際の細胞の挙動の双方を解析する合成生物学アプローチによる理解を深めることができた。数理モデルについては、(1)細胞間通信分子の拡散、および、細胞の内部状態に依存した成長速度の変化を取り込んだコロニー形成や、(2)カタストロフィー理論に基づく分岐現象の一般化を扱った。さらに、それぞれについて、実際の生きた細胞集団の挙動として具現化することができた。
合成生物学では、生体高分子を組み合わせた人工生命システムを数理モデルに基づいて構築する。システムのパラメタを変化させた際のモデルの挙動の変化が、ナマの生命システムの挙動の変化に反映するならば、その数理モデルによる生命システムの把握は成功している。この意味で、合成生物学は、博物学に重きを置いていた伝統的な生物学と相補的なアプローチにあり、生物学を自然科学一般の文脈でとらえる運動と言える。本研究では、細胞集団における空間パターンの形成に対してこの合成生物学アプローチを適用するものであり、多細胞生物を含めた生命に対する新たな理解や、数理モデルを活用した工学手法による医薬品開発にも資するものである。
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Communications Biology
巻: -
10.1101/803239