研究課題
基盤研究(B)
海洋を中心に、環境中の栄養塩動態を追跡する新しい環境指標として、二枚貝殻中の微量な塩素に着目して研究を実施した。本課題ではウバガイ殻中の塩素濃度分布を解析し、殻には成長線と対応した濃度変化を記録していることを明らかにした。一方、塩素濃度の時間変化を解析したところ、ウバガイ殻中の塩素は貝の生態や生育の情報を反映している可能性が示唆された。高精度な塩素同位体分析を目的として、液体クロマトグラフ装置によるイオン交換モードの分離を利用し、環境試料から複数元素を一括自動分離できる手法を開発した。従来の手法では数時間を要した処理を、10分程度で可能な新たな元素の単離方法の開発に成功した。
生物が形成する代表的な炭酸塩鉱物である二枚貝の殻には、成長線と相関した微量元素濃度の変化として、貝の成長あるいは生育の履歴が記録されていることを見いだした。本成果を応用することにより、貝などの海産生物の成育記録を貝自身から読み解くことができる可能性が示唆され、今後、天然資源の管理や養殖などの水産業への応用が期待できる。本研究の同位体分析研究で開発された高精度な元素単離法は、古気候・古環境分野にとどまらず、地球化学・海洋学・環境分析・惑星科学など、同位体組成を分析指標として利用している様々な研究分野に対して広く貢献するものと期待される
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すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 9件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 図書 (2件)
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