研究課題
基盤研究(B)
造血組織は放射線に対して高感受性であり、造血不全だけでなく晩発性影響においては白血病などが危惧される。本研究では、知見の乏しい低線量率被ばくの造血組織への影響について解析し、それを防御するための基盤理論の確立に貢献することを目指した。その結果、低線量率被ばくが造血幹細胞を含む未分化上位造血細胞を特異的に減少させ、造血幹細胞の活性を低下させることが解った。細胞生物学的だけでなく単一細胞レベルで分子生物学的にも詳細に解析することによって、未分化上位造血細胞においてはゲノム修復が誘導されるが、アポトーシスや細胞分化も誘導されることが解った。これにより未分化上位造血細胞の特異的な減少が起こると考える。
本研究では、今まで充分には明らかにされて来なかった低線量率放射線被ばくの造血システムへの影響について細胞レベルから分子レベルまで詳細に解析した。原発作業や宇宙開発などの環境下では、長期間に渡る低線量率放射線被ばくが生ずることが危惧され、本研究で明らかにしたように造血幹細胞の特異的な減少や機能障害によって造血不全や免疫不全が引き起こされる危険性が考えられる。本研究成果を基に、低線量率放射線被ばくによって造血幹細胞障害が引き起こされるメカニズムが更に明らかにされ、新たな防御法の開発に道が開かれることを期待したい。
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Epigenomes
巻: 印刷中
Nature Communications
巻: 9 号: 1 ページ: 2202-2202
10.1038/s41467-018-04441-z
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