研究課題
基盤研究(B)
生活習慣病の要因として、腸内細菌叢の悪化に伴う慢性炎症が重要視されている。腸内細菌が産生する最も強力な炎症誘導物質は、グラム陰性細菌の細胞壁構成分子リポ多糖(LPS)である。生活習慣病患者ではLPSが腸管から血中に移行し高LPS血症を呈するが、LPSは腸内環境に依存した化学修飾を受けるため活性は一様ではない。LPSの脂溶性ユニットであるlipid A は、LPSのエンドトキシン活性を担う最小単位である。菌種や生育条件に依存したlipid A構造の変化はエンドトキシン活性に強く影響する。本研究では、生活習慣病の新規の予防・治療・診断法確立に向けたLPSの活性変化に関する基礎研究を展開した。
本研究では、高LPS血症に関連する各疾患発症メカニズムの解明および早期診断の基盤データの構築を目的とし、これまで全く手付かずの腸管内lipid Aプロファイルの分析化学的解析と生理活性解析に取り組んだ。Lipid Aはそれ自身が直接的に炎症を制御する分子であるため、今後さらに詳細な検討により、腸内環境で疾患依存的に変動するlipid Aの法則が解明されれば、非侵襲的な早期診断が可能になる。
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