研究課題
基盤研究(B)
フォーカシング・ポリキャピラリ・オプティクスを用いて軟X線を数十μmに集束した際、微小試料への入射位置と角度が僅かに異なる多光束の軟X線として照射される特性を評価してイメージングする技術を開発することにより、生体細胞内を可視化できるテーブルトップ軟X線顕微鏡の実現を目指した。プロトタイプを3D設計・製作し、レーザー生成プラズマから放射される軟X線のポリキャピラリ出射強度を計測すると、1パルスで約800万光子が得られた。しかし、大気圧下の顕微試料を透過した軟X線をCCDで像取得するには強度が不十分であり、本課題を解決するため回転放物面Niミラーを前置する等、顕微鏡システムの改良を行ってきた。
生体細胞内を顕微観察する方法として、水の窓領域の軟X線を用いた種々の顕微鏡の開発研究が進められている。現在、水の窓軟X線顕微鏡用光源として、SPring8などの放射光施設を利用した研究例はあるが、大型設備のマシンタイム取得条件が厳しく、多くの研究者が自由に利用できる環境にはない。本研究で設計・製作したような卓上型水の窓軟X線顕微鏡を実用化できれば、細胞内の動的観察が可能になって新たな知見が得られ、広く国民の利益に供することが期待される。