研究課題/領域番号 |
16H03400
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
葉柳 和則 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (70332856)
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研究分担者 |
市川 明 大阪大学, 文学研究科, 名誉教授 (00151465)
増本 浩子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10199713)
中村 靖子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70262483)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2018年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2017年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2016年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 演劇 / 文化政策 / ナチス / スイス / 歴史 / 国民国家 / ヨーロッパ文化 / ヨーロッパ文学 / 演劇史 / 西洋史 / エリア研究 / ドイツ語圏文学 / 文化史 / 社会史 / 演劇学 / 文化社会学 / 精神的国土防衛 / チューリヒ劇場 / 独文学 / スイス文化 / 芸術諸学 |
研究成果の概要 |
ナチス時代のスイスは、二つの文化政策の影響下にあった。一つはナチスによる強制的画一化政策である。これは、スイスにとっても文化的圧力となった。もう一つはこの文化政策に対抗して生まれた、スイス独自の文化政策「精神的国土防衛」である。これはドイツとスイスとの文化的差異を強調することを目指した。チューリヒ劇場は、当初は精神的国土防衛にとって批判の対象であった。しかし、この劇場は、1938-39年のシーズン以降、精神的国土防衛の枠組みをスイスにおける「多様性の中の統一」という視点から再解釈し、寓意劇の時事劇的上演を行い、精神的国土防衛に順応し、同時にナチスを批判するためのドラマトゥルギーを生み出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、定型的に論じられてきたスイスの精神的国土防衛と演劇・映画との関係を、具体的に明らかにすることにある。その結果、これまで一種の国民的神話となっていたナチス時代のスイスの文化史叙述を脱構築するための基本枠組みを提示しえた。さらに、スイスと他のドイツ語圏の芸術の相互作用についての理解を深めることにつながった。すなわち、精神的国土防衛というこれまでスイス以外ではほとんど知られていなかった文化運動や具体的な演劇や映画的実践を探求することは、スイスにおける文化と政治の歴史の書き換えにとどまることなく、国民国家の文化的アイデンティティという広範な問題圏において社会的意義を有している。
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