研究課題
基盤研究(B)
時間反転対称性の破れを探索する実験を行い、データ収集に成功した。スピン偏極したLi-8原子核から放出される電子線の、横偏極度を測定する実験である。スピン偏極した不安定原子核はカナダのTRIUMF研究所のISACを用いて生成し、電子飛跡検出器として円筒型ドリフトチェンバーをを用いたMott散乱の散乱非対称性を測る原理に基づく横偏極度計を建設して用いた。実験は2016年、2017年に行ってデータ収集に成功し、時間反転対称性を破るR相関、時間反転対称性は破らないがこれまで観測されていないN相関、そしてローレンツ対称性の破れの検証が可能な偏極核半減期の時間変動のデータを得る事が出来た。
時間反転対称性は物理法則が持つと信じられている最も基本的な対称性の一つである。これは物質と反物質の対称性の破れとも直接的に関係しており、我々の宇宙に極端に反物質が少ない謎に対する答えを提供する可能性があるものである。この研究はわが国で開発した検出器をカナダに移設し、カナダの加速器を用いて世界最高精度に達するデータを得る事に成功した国際プロジェクトである。
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