研究課題
基盤研究(B)
本研究は、カタツムリの動作を参考に、凹凸・ひび割れ・汚れを伴う壁面や天井において、吸着したまま推進可能な新しい移動体の基盤技術の構築を目指した。移動体は、空気圧により進行波を生成する柔軟駆動部と、せん断応力や吸着力が速度により変化する粘液から成る。これにより、収縮波が尾部から頭部に進行する間せん断応力は減衰し、波間では吸着力を生成できる。当該原理をもとに、コンクリート構造物の老朽化検査への応用も視野に入れ、1)進行波を生成する柔軟アクチュエータの設計法、2)粘液による吸着特性の解明、3)繊毛構造の設計法、4)人工粘液の精製法、などを検討し、試作機を用いた実験により、提案手法の有効性を確認した。
凹凸・ひび割れ・汚れを伴うコンクリート壁面や天井面における移動は、従来までの壁面移動ロボットで試みられてきたものの、安定した吸着力と推力の双方の実現には至っていなかった。本研究は、カタツムリの吸着移動メカニズムに着目し、柔軟アクチュエータで生成される進行波と粘液との相互作用により、壁面に吸着したまま推進する移動手段を新たに提案し、その有効性と改善すべき設計上の課題を明らかにしたものである。また、本研究で提案した進行波と粘液との相互作用は、壁面移動ロボットだけでなく、体内を移動する内視鏡や医療ロボットなど、他の領域にも応用可能な成果を創出できたものと考えている。
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Advanced Robotics
巻: 無 号: 7 ページ: 363-374
10.1080/01691864.2017.1392347