研究課題
基盤研究(B)
核融合炉の実現を妨げている要因として、高温のプラズマと真空容器壁が設置している部分(ダイバータ部)の熱負荷が高すぎることが挙げられる。これを解決するために、真空容器壁内で必然的に発生するダスト(炭素・金属などの粒)を活用して、ダイバータ部の熱負荷を下げる研究を行った。ダスト落下装置(IPD)を大型ヘリカル装置(LHD)の上部に設置してプラズマにホウ素などのダストを落下させる実験を行った。その結果、一部のダイバータ部の熱負荷を低減させることに成功した。ただし、プラズマを安定に長時間維持することが難しいことが分かった。ダストの供給場所をダイバータ部のみに局所化することが有効であると考えられる。
本研究によって、ダストを利用した核融合炉内のダイバータ部の熱負荷低減の可能性を探ることができた。本研究によって、炉内で必然的に発生するダストがプラズマに及ぼす影響とその挙動を詳しく観測することに成功した。ダストをダイバータ部の熱負荷の低減に本格的に活用した事例は従来までなかったことから、本研究の当該分野に及ぼす学術的意義は非常に大きいと考えられる。また、本研究によって核融合炉内でのダストの挙動と、そのダイバータ部の熱負荷の低減効果、そのプラズマ放電の維持に与える功罪を明らかにすることができた。これらのことは核融合炉を早期に実現する上で有益な情報であり、その将来に及ぼす社会的意義は大きい。
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