研究課題
基盤研究(B)
肺腺がんの悪性化にはがん周辺部の微小環境が関与しているが、その詳細は不明である。研究代表者は、肺腺がん細胞から分泌される因子が肺がん間質の主成分である線維芽細胞に作用し、がん抑制因子p53機能を阻害することによってがん随伴線維芽細胞(CAFs)様の性質を獲得することを発見した。また、CAFsにおけるp53の不活化に伴って誘導され、肺腺がん細胞の増殖能や浸潤能の亢進に関わるCAFs側の因子としてTSPAN12を同定しているが、その詳細な分子メカニズムは不明である。そこで本研究課題「がん随伴線維芽細胞によるがん悪性化進展機構の解析」では、肺腺がんの悪性化に関与するCAFsと肺がんとの相互作用を介した分子機構を明らかにし、肺腺がんの増殖、浸潤やがん治療抵抗性などの肺がん悪性化や難治化の本体解明を目指した。本年度は(1) p53によるTSPAN12発現制御機構の解析、(2)肺腺がん細胞とCAFsとの細胞間接触に関与する細胞膜表面蛋白質の探索、(3) TSPAN12に結合するがん細胞側の蛋白質の探索、(4) CAFsが肺腺がんに対する抗がん剤や分子標的薬の治療抵抗性に与える影響の解析について実施した。 (1)ではTSPAN12のプロモーター領域をクローニングし、p53がTSPAN12プロモーターに対して抑制的に作用するか解析した。(2)では質量分析機を用いて、肺腺がん細胞とCAFsとの細胞間接触に関与する細胞膜表面蛋白質の候補を2つ同定した。現在同定した2つの候補分子について機能解析を行っている。(3)ではTSPAN12細胞外領域ペプチド用いてTSPAN12結合因子陽性細胞のソーティングを繰り返すことで、TSPAN12結合因子が高発現した細胞集団を得た。(4)では肺がん細胞と線維芽細胞の共培養を行ない、分子標的薬の感受性に与える影響について解析を行った。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 6 号: 1 ページ: 31758-31758
10.1038/srep31758
120005842606