研究課題
基盤研究(B)
高等動物から原核生物に至るまで、生体膜内外のプロトン濃度勾配(プロトン駆動力)は、生命活動を担う重要なエネルギー源になる。本研究では、プロトン駆動力を鉄や栄養素の輸送に供給し、これまで構造情報の不足していた膜蛋白質複合体ExbBDの構造解析を行った。X線結晶構造解析からExbBの構造を2.8Å分解能で決定し、さらに単粒子解析からExbB/ExbD複合体の構造を明らかにした。その結果、pHの変化に伴いサブユニットの数が変化し、これがチャネル活性に大きな影響を及ぼすことを明らかになった。これは膜タンパク質がダイナミックに構造を変化させることで活性化する新しい作動機構と考えられる。
本研究で、生命の根源的なエネルギーであるプロトン駆動力を利用するExbBDの構造をX線結晶構造解析と単粒子クライオ電子顕微鏡法により決定した。また、これまで知られていなかった膜蛋白質のダイナミックな形態変化という新しい現象の一端が明らかになった。同様の機構は、他の膜蛋白質でも機能の制御などに利用されている可能性も考えられる。このような研究を通じて、実際に薬剤が機能していく段階や過程を可視化することで、新しい創薬技術の創出へと発展することも期待できる。今後、導入した新型クライオ電子顕微鏡を用いて、より高い分解能での単粒子解析と高精度な電子線三次元結晶構造解析を進め、研究を加速したい。
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