研究課題
基盤研究(B)
ストレス防衛反応の脳内回路を、光遺伝学の手法を用いることにより従来よりも神経伝達物質特異的に研究した。以下の4点が明らかになった。①ストレス誘発自律反応に先立ってオレキシン神経の活性化が生じた。さらにストレスの予期という心理要因でも活性化された。②腹側被蓋野ドーパミン神経は、正の動機付け(近接・獲得)だけでなく、負の動機付け(嫌悪・逃避)にも関与している可能性が示唆された。③ストレスによる心拍や呼吸数の上昇には吻側延髄縫線核のセロトニン神経が関与している一方、体温や行動量の増加には他の神経回路が関与していると推測された。④危険ストレス情報はオレキシン受容体を抑制しても個体を覚醒に導いた。
ストレスを受けると闘争逃走反応が生じるが、その時体内では心拍数・呼吸数・体温等の増加(まとめて防衛反応と呼ぶ)が生じて闘争逃走行動をサポートする。このメカニズムに視床下部のオレキシン産生神経細胞が重要であることを、オレキシン産生神経細胞の活動をストレス前後で測定することによって証明した。オレキシン産生細胞からの情報の伝達路であるドーパミン神経やセロトニン神経の役割も明らかになった。神経伝達物質オレキシンの作用を阻害する薬剤の効果の検討から、その安全性が確かめられた。
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