研究課題/領域番号 |
16H05499
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
救急医学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田崎 修 長崎大学, 病院(医学系), 教授 (90346221)
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研究分担者 |
田島 吾郎 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (00437427)
竹川 良介 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30759577)
朝野 和典 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40202204)
嶋津 岳士 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50196474)
松本 直也 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (50359808)
清水 健太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60379203)
山野 修平 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60570538)
小倉 裕司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70301265)
廣瀬 智也 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70597509)
平尾 朋仁 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (10404261)
明田 幸宏 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (60444527)
山本 倫久 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10778707)
萩谷 英大 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (30718531)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2018年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2018年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2017年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2016年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 自然免疫受容体 / 自然免疫 / 感染症 / ヒストンH3 / シトルリン化 |
研究実績の概要 |
基礎研究においては、感染性炎症と非感染性炎症の病態を自然免疫の発現パターンから判別することを目的として研究を行った。感染性炎症モデルとして盲腸結紮穿刺を、非感染性炎症モデルとして20%III度熱傷モデルを用いて、受傷6、12、24時間後に全血よりtotal RNAをを抽出して定量RT-PCRにより自然免疫受容体(TLR2、TLR4、TLR9、NLRP3、RIG-I)の遺伝子発現を測定し判別分析を行った。その結果、受傷後6時間後から各群で特徴的な遺伝子発現パターンを示し、各時間(6、12、24)において過誤率0%で各病態を判別することができた。この結果は、米国外傷学会に口演発表し論文化した。また、新たな重症病態とCit-H3やNETs発現との関連を評価するため、頭部外傷モデルの作成に着手した。 臨床研究においては、NETs産生との関連が注目されている静脈血栓塞栓症(VTE)とその予防法についての研究を行った。外傷の重症度を示すInjury severity scoreが15以上、VTE発症のリスク指標であるRisk Assessment Profile scoreが5以上の重症外傷患者(n=27)に対して止血が完成した時点から未分画ヘパリン1万単位/日を最長14日間投与した。その結果、VTEの発症率はhistorical control群(n=82)と比較して32.9%から7.4%まで有意に低下した。本予防法においてもVTEが生じた症例ではNETsの過剰産生が関与している可能性がある。その他の臨床研究として、救命救急センターおよび外傷センター開設が、担当地域の救命率向上に寄与したかを地域網羅的に解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、重症病態においてNETsの放出時に起こるヒストンのシトルリン化を制御することにより、重症病態の炎症制御、および予後改善に寄与する予定であったが、重症病態のモデル開発とその病態解析の段階で止まっており、治療の段階にまで達していない。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度に引き続き重症病態の動物モデルを用いてNETsの発現と重症病態の関係を評価する。また、新たな重症病態として、頭部外傷モデルの作成に着手する。 ・自然免疫受容体の下流の主なシグナル分子群をターゲットに遺伝子発現を測定し、NETs発現と重症病態の関係を評価する。自然免疫受容体の主なシグナル分子群はMyd88、Trif、Irf7、Casp1、Casp8、c-Fos、内部コントロールはRps18を用いる。また、NETs形成のためのヒストンH3のシトルリン化に必須の酵素であるPad4の発現を測定する。マウスは受傷3、6、12、24時間後にsacrificeして心腔内採血を行う。Prime-Script RT Reagent Kit(Takara Bio Inc., Otsu, Japan)を用いて逆転写後、SYBR Premix Ex Taq II(Takara Bio Inc.)を用いてThermal Cycler Dice Real Time System(Takara Bio Inc.)でPCR施行し、内部コントロールとしてmRNAを定量化する。血中NETsの定量は,血清中のMPO-DNAをELISA法で測定することにより行う。 臨床研究として、外傷患者の合併症、および予後に関する研究を行う。 ・頭部外傷合併外傷に対する静脈血栓塞栓症(DVT)の予防法は確立していないことから、止血を得た後に未分画ヘパリンを投与することにより予防効果があるかを検証する。また、DVT発生がNETs産生能と関連しているかを検証する。患者血漿を用いて血中NETs濃度をELISA法にて測定(MPO-DNA複合体の同定)する。また、DNaseI、IL-6、可溶性VCAMをELISAで測定する。
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