研究課題/領域番号 |
16H05654
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
応用健康科学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
國土 将平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (10241803)
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研究分担者 |
友川 幸 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30551733)
中野 貴博 名古屋学院大学, スポーツ健康学部, 准教授 (50422209)
佐川 哲也 金沢大学, 人間科学系, 教授 (70240992)
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2019年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2018年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2017年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2016年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 学校保健 / ソーシャルキャピタル / ラオス / ネパール / チャイルドクラブ / ソイーシャルキャピタル |
研究実績の概要 |
2017年3月にネパールで4校,8月にラオスで4校,合計8校の調査対象校を選出し,子どもクラブを活用した学校保健プロクラムを2年間の予定で開始した。ミッドターム・サーベイは2018年度4月にネパールで,5月にラオスで実施した。昨年度の学校活動の報告と2年目の年間計画の作成に関わるワークショップをネパールでは4月30日と5月1日,ラオスでは9月11~14日,校長,責任教員,子どもクラブ代表者4名を招聘し,開催した。なお,研究代表者,分担者は4-5月,9月,12月にそれぞれ対象学校の視察するとともに,年間10回~15回,当該地域の大学教員スタッフもしくは大学院生スタッフが対象学校を観察,指導を行いレポートを作成した。 ベースライン調査の結果からは,人間関係について,4-5年生では生徒を信頼できるという割合はネパールでは約75%,ラオスでは約65%であった。ネパールにおいて,6-9年生では生徒あるいは近所の人を信頼できるという割合は50-60%と低かった。セルフエスティームについて,4-5年生ではネパールはラオスの子どもに比べて低いが,学年が上がるにつれて良好になる傾向を示した。社会性については,ネパール・ラオスとも80-90%の子どもが良好であった。問題がある場合に友だちと相談することはネパールでは90%を越えたが,ラオスの4-5年生では60-70%であった。 学校保健活動について,飲料水や手洗い・歯磨きに関する知識では,UNICEFのWASHプログラムはよく知られており,学校の中にプロモーションに関する情報が掲示されており,ある程度の知識を得ていると考えられる。その一方で,ネパールでは水源の確保の困難性やや利用できる総水量が十分ではないため手洗いやトイレに利用できる水が少ないなど,実施上の困難性を抱えており,実際の行動との関連性を確認する必要性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクトスクールにおける子どもクラブを活用した学校保健活動は昨年度1年目を修了した。その中で明らかになってきたことは,学校の校長先生の意識の違いによる活動の学校差であった。ワークショップにおいて,それぞれの活動を共有する場ができることによって,自校の活動を比較することができ,特に活動に消極的であった学校は2018年度後半に積極的な活動を展開するなど,大きな変化がみられた学校もあった。その一方で,活動の成果は十分ではあるが,一人の教員の積極的な活動参加により,負担感を感じる場合もあり,その学校には,子どもの主体的活動であることの大切さや,教員の役割の限定,複数の教員が役割を分担するなど講習会を通じて次年度の計画を含めて改善することができた。 ワークショップを通じて,子どもクラブのメンバーのオーナーシップをもった自主的な活動として,定着しつつあることを確認でき,また,子ども達の意識や行動の変化も確認することができた。先生の考える課題と,子どもクラブのメンバーの考える課題の違いを浮き彫りにできるなど,教員と子どもクラブ,また子どもクラブのメンバーとその他の子ども達の関係性は良好に推移していると考えらた。しかし,ネパールの学校では行政区の変更に伴う,諸手続の変化などに十分な対応ができておらず,学校の運営上の経費として,学校運営委員会や自治体の教育委員会との連携の強化に問題があり,今後現地大学教員などと情報を交換しながら解決策を考える必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,チャイルドクラブを活用した学校保健プログラムを終了し、その成果,問題点、課題点を確認する。なお継続して,ラオス国立大学,トリブバン大学の研究協力者ならびに大学院生などから研究の継続的実施の了解を得ている。プロジェクトの成果を確認するために,ネパール国においては4月20日より,ラオス国においては5月11日よりそれぞれのプジェクト学校を訪問し,ファイナル・サーベイを実施する。同時期に,プロジェクト学校の担当教員ならびに児童とともに,成果ならびに課題について報告会を実施するとともに,成果に関わるエビデンスの収集を行う。また,2年間にわたって学校をサポートしていただいた現地スタッフより,成果と課題について,インタビュー調査を実施する。6月以降は得られた3年間のデータを解析し,統計資料を作成する。特に子ども達の健康的生活習慣の改善や,ソーシャルキャピタルに関わる意識の変化をコーホートデータとしてあつかい,その変化を検証する。また,12月にネパール,ラオス両国の関係者をタイ国に招聘し,チュラロンコン大学の協力のもと,ワークショップを開催して,共同研究者ならびに現地研究協力者とプログラム実施によって得られた成果,明らかになった問題点の解決策を協議、立案し、持続可能性について検証する。これらをまとめて,論文を執筆,投稿するとともに,チャイルドクラブを活用した学校保健活動のテキストならびに報告書を作成する。
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