研究課題
基盤研究(B)
水田地域における温室効果ガス抑制のための水管理手法の実践が広域に展開されることが喫緊の課題である.農業水利末端地区のレベルにおいて,分水工整備によるブロックローテーションシステムを導入し,水管理組織による分水工管理の仕組みを導入して,メタン放出抑制効果を有する間断灌漑が地区レベルで実施できるかを検討した.その結果,降雨や減水深の低さの影響で理想的な水管理はできなかったが,非湛水期間の長期化とメタン放出抑制の可能性が示された.また,土壌の酸化還元電位の経時変化に基づいて,本地区で可能な湛水深管理スケジュールを提示した.これと並行して,収量の最大化のためのイネの栽植密度を提案した.
アジアの水田からの温室効果ガスの放出抑制は気候変動の緩和策として重要な課題である.水田でとくに問題となるメタンの放出を抑制するためには,非湛水期間を適宜設けることが大切となるため,適切な水管理(間断灌漑)が不可欠となる.しかし,収量や品質への影響の懸念から農家が積極的に取り組まない現状にある.本研究では,地区レベルでの組織的な水管理ができる仕組みを作り,個別農家が意識せず,地区レベルでの環境配慮型の管理が実践される可能性をベトナムにおいて実証した.今後,積極的な組織的水管理によって環境保全型農業が実現されることが期待できる.
すべて 2019 2018 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Agricultural Management
巻: 217 ページ: 179-192
10.1016/j.agwat.2019.02.015
応用水文
巻: 31 ページ: 79-87
https://sites.google.com/site/kimihitonakamura/vietnam