研究課題
若手研究(A)
瀬戸内海表層堆積物に含まれる難分解性有機物を定量的に把握するとともに,堆積物の難分解性有機物分解材料について開発を試みた.表層堆積物の難分解性有機物濃度は4.7-21.4 mg/ gの範囲であり,表層堆積物のTOCに対して72-94%であった.海洋の植物プランクトンが海底にPOMとして堆積し,ヒューミン,難分解性有機物に変化したと考えられた.また,瀬戸内海表層堆積物中の残留性農薬,有機フッ素化合物濃度を定量した.難分解性堆積物の分解実験を室内および現場で行ったところ,フライアッシュと高炉セメントから合成した石炭灰造粒物が堆積物の有機物分解を促進することがわかった.
近年,河川や湖沼の有機物の組成が生物に分解されにくい難分解性成分が増えている報告を受け,本研究では知見が不足している沿岸域の堆積物に含まれる難分解性有機物を定量的に把握した点で学術的意義がある.また,ストックホルム条約の発効によって,随時,廃絶・使用が制限されたはずの残留性農薬が,近年堆積したと考えられる瀬戸内海表層堆積物において検出されていることがわかった.引き続き,残留性有機汚染物質の環境動態の解明が必要であることを示した点で学術的・社会的意義がある.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
Marine Pollution Bulletin
巻: 149 ページ: 110543-110543
10.1016/j.marpolbul.2019.110543
120006719418