研究課題
若手研究(A)
モンゴル国ホスティン・ボラグ遺跡などの発掘調査を実施し、複数の製鉄炉、鉱石焙焼炉や廃棄土坑などを検出した。放射性炭素年代測定から製鉄遺跡の年代は紀元前2世紀~紀元後1世紀であることが明らかとなった。また、炉形や土製羽口の検討や鉄滓の金属学的分析から製鉄技術の特徴の一端を明らかとした。本研究の推進により、紀元前2世紀の匈奴が鉄器生産能力を既に有しており、技術的系譜の一つを南シベリアに求められることが明らかとなった。これは中国の史書にも記載されておらず、これまでの匈奴のイメージを覆す大きな発見であった。
これまで遊牧国家は農耕国家によって記載された歴史書によるネガティブなイメージ(野蛮な殺戮者、文明の破壊者)に支配されてきたため、匈奴の手工業生産は著しく低く見積もられてきた。ホスティン・ボラグ遺跡の発掘成果から匈奴による鉄の独自生産が解明されたことは、これまでの匈奴のイメージを変える大きな発見であった。匈奴はその後の遊牧国家の“原型”とされており、本研究により考古学の立場から新たな遊牧国家像を提示することが可能となった。
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金沢考古
巻: 75
120006226786
日本モンゴル学会紀要
巻: 46 ページ: 87-89
40020830492
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