研究課題
若手研究(A)
酸化ガリウム(Ga2O)をGa源としたGaN結晶成長法(OVPE法)は,排気系を詰まらせる副生成物が生成しないため原理的に長時間の連続成長が期待できる方法である.長時間成長に向けた課題は,ノズル部,および基板ホルダー部における多結晶生成の抑制であるが,H28年度の成果より,ノズル部においてはシールドガスの導入により多結晶生成が抑制された.そこでH29年度は(1)基板ホルダー部の多結晶生成を抑制するため,各種ガス条件を検討したので報告する.加えて,新たに多結晶生成の原因となる(2)H2Oを低減できる炭素吸着法を開発した.(1)については,基板上での核発生を抑制することが重要であるが,核発生頻度を決めるパラメータである過飽和比(σ=(Ga2O供給分圧P0)/(Ga2O平衡分圧Pe))に着目した.従来の過飽和比(σ=140)に対し低過飽和比(σ<10)の条件で結晶育成を実施したところ,成長膜上に堆積する多結晶密度が大幅に減少し,5時間の成長においても成長速度の低下,および結晶性の低下は起こらなかった.(2)について,OVPE法では,原料部で副生するH2Oも多結晶生成要因の一つであるが,H29年度は,H2O分圧を低減する手法として,新たに炭素吸湿法を開発した.本手法では,炭素,もしくはメタンガスを導入することで,H2O分圧の低減が可能であり,それにより5時間以上の長時間成長においても多結晶化が大幅に抑制されることが明らかになった.以上の結果より,低過飽和比条件と,炭素吸湿法を組み合わせることで,多結晶生成を抑制しながら約400μm61549;mの厚膜GaN成長(10時間)に成功した.現状では,設備的な制約で成長時間が最長10時間に限定されているが,本年度の成果によれば,更なる長時間成長により1mm厚のGaN成長が期待される.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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