研究課題
若手研究(A)
本研究では、真空中において赤外レーザー光で作られた光格子中にナノ粒子を捕捉し、その3次元的な運動を精密に観測する実験装置を製作した。この装置において、真空中のナノ粒子は50~200素電荷程度の大きな電荷を持ち、振動電場によりその運動を制御しやすいことを明らかにした。また、単一荷電ナノ粒子を光学的に観測し、その振動振幅が減衰するように電場にフィードバックを与えることで、ナノ粒子の重心運動を3次元的に超低温へと冷却する効率的な手法を実現した。同時に、捕捉されたナノ粒子の質量や帯電価数を正確に測定する手続きも確立した。
本研究により、真空中の単一荷電ナノ粒子の重心運動を電場によって容易に制御でき、超低温領域まで冷却できることが明らかとなった。この電場冷却の手法をさらに高真空で適用することで、原子・分子よりはるかに大きな粒子の重心運動を量子基底状態付近まで冷却し、今なお未開拓な巨視的物体の量子的振る舞いを明らかにできると期待される。また、本研究により、真空中のナノ粒子は大きな電荷を自発的に持つため、ナノ粒子同士の相互作用はクーロン反発力が支配的であることがわかった。今回確立した実験系は、高い制御性を持つことから、星間物質の形成に関わる荷電ナノ粒子間衝突の物理を実験室内で追究する舞台としても有望である。
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Physical Review A
巻: 印刷中
130008153522
巻: 98 号: 5 ページ: 053838-053838
10.1103/physreva.98.053838
Journal of Physics B: Atomic, Molecular and Optical Physics
巻: 50 号: 24 ページ: 245501-245501
10.1088/1361-6455/aa95ab