研究課題
若手研究(A)
北極域の下層大気では、混相雲(過冷却水滴と氷晶が混在する雲)が年間を通して頻繁に発生しており、北極域の気象や気候、生態系などに大きな影響を及ぼしている。本研究では、北極域でも特に混相雲の発生頻度が高い地域であるスヴァールバル諸島にて、混相雲内での氷形成過程にかかわる氷晶核(氷形成能力を有するエアロゾル粒子)の観測を実施した。スヴァールバル諸島のZeppelin山観測所にて氷晶核の数濃度を計測したところ、夏季には冬季よりも1桁高い値を示すという結果が得られた。夏季における氷晶核濃度の増加の原因としては、スヴァールバル諸島内もしくは近辺で発生したダストが影響していた可能性が高いことを示した。
夏季に北極陸域から発生するダストが、大気中での氷晶核の数濃度の大幅な増加をもたらしていることは、本研究によって初めて明らかなった成果である。今後、温暖化の進行によって積雪の融解や氷河の後退が進むと、北極陸域からのダストの発生量も増えるとも言われている。本研究で得られた成果は、現在、北極域で急速に進行しているとされる温暖化の影響によって、北極域上空でのエアロゾルや混相雲にどのような影響があらわれるのかを評価する上でも、重要な科学的知見となりうる。
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すべて 国際共同研究 (13件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 6件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (30件) (うち国際学会 14件、 招待講演 2件) 備考 (4件)
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