研究課題
若手研究(A)
本研究では,星間塵を想定した表面反応によりH2O氷を10 Kの基板にその場で生成し,そこから光脱離(原始惑星系円盤で生じる過程を模擬),あるいは熱脱離(彗星コマを模擬)したH2O分子の核スピン温度を共鳴多光子イオン化法によって直接測定する実験をおこなった.結果として,10 KでH2O氷を作製したにもかかわらず,H2O氷から熱脱離もしくは光脱離したH2O分子の核スピン温度は高温極限(50 K以上.オルソ/パラ比は統計重率比である3)となり,H2O氷生成時の温度である10 K(オルソ/パラ比:0.3)にはならないことがわかった.
これまで,宇宙の水(H2O)の核スピン温度は「H2O氷が星間塵の表面で生成したときの温度を反映している(生成温度計)」と考えられてきたが,本研究によって「H2Oの核スピン温度からはH2O氷の生成時の温度環境を知ることはできない(生成温度計ではない)」ことが明らかになった.この結果は,これまでのH2Oの核スピン温度の観測結果すべてを再解釈する必要があることを示している.今後本研究の成果に基づいて,宇宙でどのようにしてH2Oが生成したのかについて理解が進むことが期待される.
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