研究課題
若手研究(A)
円偏光を効率的に制御できる半導体三次元カイラルフォトニック結晶について、数値計算によって高性能な円偏光共振器を設計し、マイクロマニピュレーション法を含む半導体ナノ加工技術を駆使することで、三次元カイラルウッドパイル構造を作製した。量子ドットを含んだこの試料について、低温顕微フォトルミネッセンス測定を行い、円偏光共振器モードを観測するとともに、円偏光光子と量子ドット励起子との弱結合状態を表すパーセル効果の手掛かりとなる結果を得た。正確な単一性の確認は今後の課題であるものの、円偏光光子を介して単一スピンを制御できたことを示唆する結果と考えられる。
一般にスピンの制御は外部磁場を必要とするが、本研究では、左回り円偏光と右回り円偏光が、上向き電子スピンと下向き電子スピンにそれぞれ一対一で対応することを利用して、ナノスケールで作製した三次元らせん構造に円偏光を閉じ込めることで、構造内部のスピンを効率的に制御することに成功した。実用に不向きな外部磁場の代わりに、幾何学的なカイラリティによってスピンを制御できるため、スピンや偏光の高効率な初期化や高感度センサなど、フォトニクスおよびスピントロニクスへの応用が期待できる。
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