研究課題
若手研究(A)
光によって電磁応答が動的に制御可能な、構造中に高抵抗シリコンを含むメタマテリアルの過渡応答特性を評価し、そのメタマテリアルを用いた電磁波の捕捉と解放の実証実験を行った。シリコン部分にレーザー光を照射した直後の過渡応答時間は照射レーザー光のパワーに反比例するのに対し、レーザー光の照射を止めた際の過渡応答時間は数十マイクロ秒もの時間がかかることがわかった。この結果を踏まえて、メタマテリアルを一方の入射鏡として含むようなファブリペロー共振器を用いる手法を提案した。メタマテリアルへのレーザー光の照射により、ファブリペロー共振器内に数十ナノ秒程度蓄えられた電磁波を解放することに成功した。
光によって電磁応答が動的に制御可能なメタマテリアルを用いることによる電磁波の捕捉と解放は本研究により初めて達成されたものである。本研究における実験はマイクロ波領域において行ったが、用いる半導体のバンドギャップエネルギーが電磁波の光子のエネルギーよりも大きい限りメタマテリアルを動的媒質として利用できるので、この手法は光などの高周波領域にも用いることができる。電磁波の捕捉と解放は電磁波を用いた情報処理において非常に重要な技術であるので、この手法をさらに小型の系を用いて実現できるようにすることによって、情報技術の発展に大きく貢献するだろう。
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Journal of the Optical Society of America B
巻: 36 号: 10 ページ: 2694-2699
10.1364/josab.36.002694