研究課題
若手研究(A)
一度も乾燥を生じないまま十分に水和させたセメントペーストを対象に,異なる温度における第一脱着等温線(湿度と水分量の関係)を取得し,拡張BET法と呼ばれる吸着理論を用いて水蒸気脱着性状について考察を行った。その結果,セメントペーストの空隙形状をスリットと仮定したときに,そのスリット幅は,水分子6層分にしか過ぎないこと,スリット空隙内の飽和度は,高湿度では温度によらずほぼ同じ値をとるが,低湿度では高温ほど減少することが確認された。
本研究の学術的意義は,これまでのセメント化学において定説化しつつあった毛管張力による乾燥収縮メカニズムではなく,新たにC-S-Hの層状構造の層間に生じる分離圧による乾燥収縮メカニズムによる可能性を示したことにある。これは,社会的意義からとらえると,無収縮コンクリートといった新材料開発への基礎的な知見となったことや,現在すでにストックとして存在する高経年化したコンクリートの性能評価手法の構築への基礎的な知見となったと考えられる。
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Cement and Concrete Research
巻: 91 ページ: 24-32
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120005981225
コンクリート工学年次論文集
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