研究課題
若手研究(A)
光化学系II(PSII)の酸素発生複合体(OEC)の構造は高分解能で解析されている。しかし、 水分解反応の中間体状態に相当する構造は原子分解能では解析されておらず、反応機構への理解は限定的である。研究代表者らはPSIIの微小結晶を用いて、二閃光照射により励起させたPSIIの反応中間体S3状態を調製し、XFELを用いて構造を2.35A分解能で決定した。S1状態との差の電子密度より光励起によって起こる構造変化を確認した。OECの周辺では、これまで基質の候補とされていたオキソ酸素の一つであるO5近辺への新しい水分子O6の挿入が確認されたことからO5とO6がO=O結合を形成する反応機構を提唱した。
光化学系IIは可視光による水分子の酸化反応を触媒することのできる唯一の天然触媒である。今回X線自由電子レーザーを利用した反応中間体の構造解析によりO6とよばれる水分子が触媒部分に取り入れられることで水分解反応が起こるということを実験的に観察し、触媒反応の基本原理を世界で初めて実証した。この知見は再生可能でクリーンなエネルギーを作り出す人工光合成研究への応用も期待できる。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 12件) 備考 (2件)
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