研究課題
若手研究(A)
今後の持続的な食料の生産には、ミネラル栄養が少ないやせた土壌に耐える植物の開発が必要である。本研究では植物の微量必須元素のひとつであるホウ素に注目し、植物のホウ素要求量低下を通じたホウ素欠乏耐性を付与する遺伝子の同定を目指した。葉のホウ素濃度は低下したものの成長が改善したシロイヌナズナ変異体の解析の結果、ホウ素の結合部位である細胞壁ペクチン合成や翻訳に関わる因子の変異によってホウ素要求量が低下することを明らかにした。本研究は植物のホウ素要求量を減少させる遺伝子資源を発見し、ホウ素欠乏耐性の分子機構を提唱する成果である。
ホウ素は植物の微量必須元素のひとつであり、細胞壁の構成成分として働く。これまで植物種間や品種間でのホウ素要求量の違いは記述されてきたが、要求量を決定する遺伝子や分子機構は明らかではなかった。本研究では、植物のホウ素要求量を低下させ、ホウ素欠乏耐性を付与する遺伝子変異を複数同定し、植物の成長に必要な栄養量を変化させる分子機構の新たな知見を得た。また、ホウ素欠乏による農業生産被害は日本を含めて世界で報告されている。本研究の知見はホウ素欠乏耐性品種の効率的な選抜や開発につながると期待される。
すべて 2021 2020 2019 2018 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)