研究課題
若手研究(A)
多大な経済損失を伴う乳房炎に対する予防・治療開発は難航しており、その主たる要因として、乳腺での免疫機構の多くが未だ謎であることが挙げられる。そこで、本研究では、乳腺での免疫発達機構を明らかにすることを目的とした。乳腺にIgA産生細胞が集結する際には、IgA産生細胞が発現するCCR10を介して、乳腺から分泌されるCCL28を認識することが必要である。CCL28は大腸でも発現されており、それは腸内微生物からの刺激により誘導される。乳腺にも、多種の微生物が存在しているが、乳腺でのCCL28発現は微生物がもたらす刺激によって誘導されるのではなく、仔が乳を飲む際の刺激に依存していることが明らかになった。
本研究を通して、分娩後の母体が、生体内に存在するIgA産生細胞を乳腺に集結させる分子メカニズムが解明され、乳汁中の移行抗体が産生されるプロセスの大半が明らかにされた。一方で、この乳腺に存在するIgA産生細胞が、生体内のどこで活性化し乳腺に遊走しているのか、その由来の特定は今後の課題とされた。哺育の質の向上は、母子の健全育成を可能にする重要な課題である。従来の授乳生理に関わる学問に加え、免疫学および微生物学的視点を加えた新たなアプローチを駆使することで、哺乳動物特有の母子間の情報伝達機構が解明され、健康社会の実現に貢献可能な免疫・微生物戦略が確立されると期待される。
すべて 2018 2017 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 9件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
Mucosal Immunology
巻: 印刷中 号: 3 ページ: 643-653
10.1038/mi.2017.90
Veterinary Research
巻: 49 号: 1 ページ: 22-22
10.1186/s13567-018-0517-y
120006798140
Nutrition
巻: 50 ページ: 26-35
10.1016/j.nut.2017.10.015
PLoS One
巻: 12 号: 2 ページ: e0172795-e0172795
10.1371/journal.pone.0172795
Front. Immunol.
巻: 8(57) ページ: 1-15
10.3389/fimmu.2017.00057
BMC Immunology
巻: 17 号: 1 ページ: 1-18
10.1186/s12865-016-0160-1
Journal of American Heart Association
巻: Vol.5 号: 4
10.1161/jaha.115.002779
PLoS One.
巻: 11 号: 3 ページ: 1-19
10.1371/journal.pone.0152416
Cell and Tissue Research
巻: 364 号: 3 ページ: 585-597
10.1007/s00441-015-2342-1
J. Clin. Invest.
巻: 126 号: 3 ページ: 892-904
10.1172/jci64212