研究課題
若手研究(A)
我々は、ヒト急性骨髄性白血病(AML)におけるがん幹細胞である白血病幹細胞(LSC)特異的表面抗原TIM-3分子の機能解明に取り組んだ。TIM-3分子はT細胞においてはPD-1分子と共にexhaustion関連分子として知られているが、T細胞における抑制性シグナル分子であるTIM-3のLSCにおける機能はこれまで不明であった。本研究の遂行により、LSCにおけるTIM-3シグナル伝達機構は、T細胞と異なりTIM-3分子の下流にHCK分子が結合し、canonical Wnt pathwayシグナルをWnt ligand非依存的に活性化させることを見出した。
Canonical Wnt pathway関連遺伝子変異によるβカテニン活性化機構が多くの固形腫瘍では知られている一方で、ヒト急性骨髄性白血病においてはそのような遺伝子変異が認められないことから全く異なるメカニズムでβカテニン活性化が生じていると考えられてきたが詳細は不明であった。本研究により、白血病幹細胞特異的分子であるTIM-3シグナルとその下流の分子群がCanonical Wnt pathwayを直接活性化する新しい分子機構であることを見出した。すなわち、ヒト急性骨髄性白血病における遺伝子変異非依存的βカテニン活性化機構としてTIM-3シグナルとその下流分子群の同定に至った。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 8件)
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