研究課題
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古典的なモデルにおいて、組織幹細胞は、細胞分裂頻度を低く抑えることで、分裂に伴って起こるDNA損傷・テロメア短縮等の影響を最小限にし、がん化や老化を防ぐと考えられてきた。しかし申請者は近年、マウス表皮において、活発に分裂する幹細胞の存在を見いだした。従って、幹細胞の分裂頻度と老化メカニズムを再考する必要が生じた。本研究は、分裂頻度の異なる2つの独立した幹細胞を持つマウス表皮をモデルとし、幹細胞の老化メカニズムを、細胞・分子レベルで明らかにすることを目的として遂行した。マウス皮膚組織から表皮幹細胞を特異的に単離するため、新規の分子マーカーの探索に取り組んだ。マイクロアレイ解析の結果をもとに、細胞分裂頻度の低い表皮幹細胞と、高い表皮幹細胞に特異的な細胞表面抗原マーカーを選定し、免疫染色や、FACSセルソーターを用い、in vivoにおける発現パターンを解析した。さらに、表皮幹細胞の加齢変化の分子的局面を明らかにするため、若年マウスを用いた表皮幹細胞の単離と、RNAシーケンスサンプルの調整を行った。今後は、中年・加齢マウスからも同様の方法でRNAシーケンスを行い、若年マウスの結果と比較する。さらに、加齢した皮膚の組織学的解析、細胞系譜解析、遺伝子プロファイリングで得られた結果を総合的に解釈することで、組織・細胞レベルでの加齢変化を、分子レベルでの加齢変化と結びつける。将来的には、同定した表皮幹細胞老化コア遺伝子群を標的にすることで、幹細胞レベルで作用する効果的な皮膚老化の阻止や若返りを目指す。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
Journal of Investigative Dermatology
巻: 印刷中 号: 7 ページ: 1569-1571
10.1016/j.jid.2017.02.974
実験医学、羊土社
巻: 34(14) ページ: 2700-2703
ライフサイエンス新着論文レビュー
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