研究課題/領域番号 |
16H06819
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
国際関係論
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
伊藤 岳 富山大学, 研究推進機構 極東地域研究センター, 協力研究員 (80773895)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2016年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 武力紛争 / 内戦 / 空間データ / 地理情報システム(GIS) / 紛争過程 / 紛争終結 / シミュレーション工学 |
研究実績の概要 |
本研究は,「内戦の戦われ方」(紛争過程 conflict process)と「内戦終結の蓋然性と終結形態」(紛争終結・結果 conflict termination/outcome)の決定要因・メカニズムを明らかにすることを主要な目的としていた.この研究目的のため,大別して2つの作業に取り組むこととした.第1に,内戦を形作る戦闘・暴力行使(紛争過程)の規定要因・メカニズムを明らかにする.ここでは,特定の地点・時点において攻撃・暴力を行使するといった,内戦を戦う政府軍・武装勢力のような交戦主体(warring actors)の意思決定・行動の規定要因・メカニズムを明らかにする.その上で,第2に,特定の形で内戦が展開した結果(e.g., 特定地域への戦闘の集中,戦闘の全土への拡散),内戦終結の蓋然性・結果がいかに変動するかを明らかにする.本計画では,多数の内戦における戦闘・暴力行使の時点・地点を把握可能な非集計データ(disaggregated data)を活用し,こうした2つの実証分析に取り組んだ. 平成28年度は,上記の2つの作業いずれについても順調に進展させることができた.第1の,紛争過程を巡る実証分析については論文・学会報告の形で成果を公表し,現在学術誌に投稿中のものもある.第2の,紛争終結・結果を巡る実証分析についても複数の学会報告を行なった.この作業では,戦闘の局所的展開や全土への拡散のような「戦闘の展開の仕方」が内戦終結の蓋然性・結果に与える影響を計量的に検証することを試み,紛争終結(継続期間)と紛争の結果(終結形態)それぞれにフォーカスした論文を執筆することができた.執筆した論文は,今後学術誌に順次投稿する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画は,おおむね順調に進展した.本研究全体では,(1)内戦を形作る戦闘・暴力行使(紛争過程)の規定要因・メカニズムの実証と,(2)特定の形での内戦が展開(e.g., 特定地域への戦闘の集中,戦闘の全土への拡散)が内戦終結の蓋然性・結果に与える影響の解明に取り組むことを予定していた.この計画が順調に進展したと判断できる理由として,主に次の2点がある. 第1に,平成28年度の研究計画が予定通り進展した.当初計画では,平成28年度は主に(1)の紛争過程を巡る実証分析に取り組むことを予定していた.研究計画に従ってこの研究を進展させることができ,さらに学会報告・論文等の形で成果を公表するできた. 第2に,(1)に加えてより発展的な上記(2)紛争終結・結果を巡る実証分析にも取り組み,研究計画をより進展させることができた.この作業に対応する,紛争過程と紛争終結(継続期間)の関係を巡る実証分析は単著論文として,紛争過程と紛争の結果(e.g., 軍事的勝利や交渉による終結)の関係を巡る研究は協力関係ができた研究者との共著論文として,それぞれ国内外の学会で報告した.これらの成果は,順次学術誌に投稿していく.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,(1)内戦を形作る戦闘・暴力行使(紛争過程)の規定要因・メカニズムの実証と,(2)特定の形での内戦が展開(紛争過程)が内戦終結の蓋然性・結果に与える影響の解明に取り組むことを予定していた.研究計画初年度の作業がおおむね順調に進展したことを踏まえ,今後は次の作業に取り組み研究計画を一層進展させる. 第1に,初年度に行なった実証分析の成果を整理・洗練し,学術誌に論文を掲載する.第2に,こうした成果を前提に,より発展的な研究に取り組む.具体的には,(2)紛争終結・過程を巡る実証分析を,内戦に対する第三国の介入・仲介や国際援助の役割も包摂する形で発展させる.
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