研究課題
研究活動スタート支援
本研究の主目的は未だに治療戦略がない進行期多発性硬化症(multiple sclerosis: MS)に対する診断マーカー,新しい治療戦略の開発へとつながる基礎を確立することである.これまで我々は,二次性進行型多発性硬化症(secondary progressive MS: SPMS)患者IgGが血液脳関門(blood-brain barrier: BBB)を破綻させることを示しており,本研究ではその標的抗原を同定することを目的に研究を行った.二次元電気泳動を用いたプロテオーム解析により,MS患者血清中に存在する抗内皮抗体の対応抗原を複数同定した.MS病型(急性期・安定期再発寛解型MS,SPMS)ごとに対応する抗原は異なっており,MS病期によってBBB破綻のメカニズムが異なることが示唆された.SPMSでは抗内皮抗体の対応抗原の一つがgalectin-3であり,抗galectin-3抗体が接着因子であるICAM-1の増加を介してBBB破綻に関与することを明らかにした.以上のことから,MS病期毎のBBB破綻メカニズムの違いに着目することで,SPMSの診断マーカー確立,治療戦略開発に着手する準備ができた.今後は同定した候補抗原を用いて感度・特異度の高い臨床応用できる診断マーカーの開発が必要である.また,MSと視神経脊髄炎患者血清中に,健常人には存在しない共通した抗内皮抗体が存在することを見出した.このことからは,BBB破綻には共通するメカニズムが存在する可能性があり,SPMSの診断マーカーのみならず,BBB破綻に共通するバイオマーカーの開発,しいては中枢神経内へのdrug delivery system(DDS)の開発につながる可能性があり,さらなる研究の継続が必要である.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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