研究課題
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腫瘍の進展・骨転移に伴う骨痛は、高頻度で発生する癌性疼痛であり患者に耐え難い苦痛を与える。本申請では、骨破壊性悪性腫瘍の骨髄病変部が酸性環境であることに着目し、骨破壊性悪性腫瘍における骨痛誘発の分子メカニズムの一端の解明と骨痛治療戦略を新たに開発することを目的に以下の検討を行った。ヒト骨髄腫細胞株をマウスの脛骨骨髄に移植すると腫瘍は溶骨性に増大した。腫瘍の増大に並行して骨髄腫移植脛骨骨髄内での知覚神経の増生、知覚神経細胞体である後根神経節においてpERKおよびpCREB発現上昇による神経興奮の増加、ならびに機械的知覚過敏および熱性痛覚過敏を指標とする骨痛の進行を認めた。またマウスへのpH感受性蛍光色素アクリジンオレンジ投与により骨髄腫細胞を移植した脛骨内環境は酸性であることが示された。骨を破壊する破骨細胞はa3V-ATPaseを介してH+を放出するが、骨髄腫細胞もa3V-ATPaseを発現しH+放出により細胞外環境のpHを低下させた。骨髄腫患者から分離したCD138+細胞もa3V-ATPaseを発現していたが、CD138-細胞には発現は見られなかった。腫瘍環境の酸性化を阻害するV-ATPase 選択的阻害薬バフィロマイシン A1は知覚神経の増生、興奮および骨痛を抑制した。破骨細胞の特異的阻害薬ゾレドロン酸も骨痛を抑制したが、患者の場合と同様に骨髄腫骨病変の進行に伴い骨痛緩和効果は失われた。しかしBafA1の追加投与により骨髄腫細胞のATPaseからのH+産出を阻害すると骨痛は再び抑制された。本研究の結果から、骨髄腫の骨痛誘発には破骨細胞と骨髄腫細胞が造りあげる酸性環境が重要な役割を果たすことが明らかとなった。破骨細胞やMM細胞からのH+放出に関与するV-ATPaseの制御が骨痛に対する新たな治療アプローチとなりうることが示唆された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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