研究課題/領域番号 |
16H07058
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 晋一郎 九州大学, 大学病院, 助教 (30778866)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2016年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 歯髄幹細胞 / 直接覆髄 / Semaphorin 3A / β-catenin / 象牙芽細胞分化 / 歯髄 / 修復象牙質 |
研究実績の概要 |
本研究では、これまで抜髄の適応になっていた露髄症例においても歯髄組織の保存が可能な新規直接覆髄剤の開発を目的としたものである。 まず、ヒト抜去歯牙歯髄組織からsingle colony selectionにより単離した歯髄幹細胞クローンのキャラクタライゼーションを行った。分化アッセイ系(骨芽細胞誘導。脂肪細胞誘導、軟骨細胞誘導)を用いて、多分化能を有し、またフローサイトメトリック分析法により間葉系幹細胞マーカー(CD73,CD90,CD105,CD146,CD166)を発現する細胞クローンを歯髄幹細胞として実験に使用した。次に、こうして得られたヒト歯髄幹細胞をSema3A含有の象牙芽細胞分化誘導培地にて培養した。その結果、Alizarin Red S陽性の石灰化物形成が有意に促進し、象牙芽細胞関連マーカー因子の遺伝子発現が有意に上昇した。以上の結果から、Sema3Aによるヒト歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化誘導効果が確認された。そこで申請者は、Sema3Aがヒト歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化を誘導する細胞内シグナルとしてβ-catenin依存的経路に着目し、これまでに、ヒト歯髄幹細胞をSema3Aで刺激した結果、β-cateninの核内移行が促進されることを明らかにしている。本研究では、ヒト歯髄幹細胞をSema3Aで刺激した結果、β-cateninの核内移行を直接的に制御する低分子量GTPaseの一つであるRac1を活性化すること、またRac1のヌクレオチド交換因子(Rac GEF)として機能するFARP2の遺伝子発現が有意に上昇することを明らかにした。さらに、Wntシグナル阻害剤として知られているDickkopf1(DKK1)を象牙芽細胞分化誘導培地に添加することによって、Sema3Aによる象牙芽細胞分化誘導効果が抑制されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sema3Aによる歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化誘導機序を解明するために、Wnt/β-catenin 依存的経路に着目し、シグナル解析を行っている。現在までに、Sema3A含有の象牙芽細胞分化誘導培地にWntシグナル伝達阻害物質として知られているDickkopf1(DKK1)を添加した結果、歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化が抑制されることを明らかにした。現在、Sema3A受容体として知られているNeuropilin1(Nrp1)をノックダウンした歯髄幹細胞を作製し、Sema3Aの象牙芽細胞分化誘導効果における、Wnt/β-catenin 依存的経路の関与について詳細な検討を行っている。また、直接覆髄の適応を超える広範囲に露髄させた露髄モデルを作製し、既にSema3Aによる直接覆髄後の修復象牙質形成効果について検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Nrp1ノックダウン歯髄幹細胞またはRac1の阻害剤を用いて、Sema3AのNrp1を介した細胞内シグナルがβ-cateninを介して伝達され、歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化誘導を促進することを明らかにする。 また、天蓋を2mm以上にわたって除去した広範囲露髄モデルにおいて、Sema3Aによる直接覆髄後の修復象牙質形成能を明らかにする。その際、既存の直接覆髄材料である水酸化カルシウム製剤とMTAセメントを比較対照群として検討する。 その後、う蝕によって露髄した症例を想定し、Sema3Aと抗菌剤との併用がう蝕原生細菌に対する抗菌性について検討する。そして、3-Mix製剤とSema3Aを添加した象牙芽細胞分化誘導培地中にてヒト歯髄幹細胞を培養し、Sema3Aの象牙芽細胞分化誘導能に及ぼす影響について検討する。 最終的に、3-Mix製剤とSema3Aを併用して開発した新規直接覆髄剤の有用性を検討するために、広範囲露髄モデルにおける修復象牙質形成効果について検討する。
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