研究実績の概要 |
本研究では、多者系のホスト‐パラサイトの数理モデルを構築することで、現実に近い進化動態を再現し、その中で成り立つ生物多様性・遺伝的多様性の維持メカニズムを解明することを目的とした。 まず、成果として多者系のホスト‐パラサイトの種間相互作用を再現するシミュレーションモデルの構築に成功した。これはHolling, Rogers, Royamaらのモデルといった複数のモデルを組み合わせたもので、複数種間のホスト‐パラサイトの相互作用を再現することができる。これにより従来の数理モデルより遥かに多様な遺伝子型から構成されるホスト‐パラサイト系が再現されたと言える。しかし、現実の個体群動態や共存機構を再現しているかどうかは今後の検証が必要になる点に注意が必要である。この構築が1年目の目標であったことからも、本研究が順調に遂行されたことを示すことができる。 一方、2年目の研究課題となっていた実証研究との統合は達成されていない。本研究は研究代表者が日本学術振興会特別研究員(PD)に採用されたため特別研究員奨励費に切り替えられることになる。したがって、モデルの精度向上、実用化や、2年目の研究課題であった実証研究との統合は切り替えられた特別研究員研究課題によって遂行される予定である。 本研究費によって、本研究課題と関連ある論文を発表することができた。査読付き国際科学雑誌(Scientific Reports誌、Molecular Ecology誌)に計2報(筆頭著者1報、共著論文1報)の論文を発表した。また、2度の学会発表が実施された。
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