研究課題
研究活動スタート支援
本研究課題では、まずin vivo遺伝子治療において解析されていない顎骨、歯牙支持組織に対する治療効果を確認し、大腿骨などの全身骨と由来が異なる硬組織の状態を確認した後に、硬組織に分布するアルカリホスファターゼ(ALP)濃度を上昇させるための至適AAV ベクター投与量を検討し、硬組織における石灰化不全の改善の可能性および安全性に関して検証することを目的とした。血中のALP活性が1U/mLの低用量治療マウスの顎骨および大腿骨は伸長不全、形態不整および低石灰化の残存が確認されたのに対し、血中ALP活性が20U/mLの高用量治療マウスではこれらの治癒不全が正常マウスと差がないまでに改善した。
従来のHPP 治療法においては、硬組織の石灰化不全に関する有効な治療法はない。したがって、低身長や易骨折性、乳歯の早期脱落の治療は困難である。硬組織の石灰化不全にも有効であるHPP 治療法の開発は患者のQOL を高めることが期待できる。また、これまでの研究は延命効果を検討しているものが多く、免疫反応や異所石灰化等の副作用に関して明瞭に評価しているものはない。また、すべての重篤な遺伝病において遺伝子治療は唯一の治療法である。よって、安全性の確認はHPP のみならず、他の遺伝病における遺伝子治療の可能性を見出す上で、重要な意義を担う。
すべて 2018 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)
Molecular Therapy methods & Clinical Development
巻: 10 ページ: 361-370
10.1016/j.omtm.2018.08.004