研究課題
研究活動スタート支援
本研究の目的は高齢者による老性自覚の認知処理に関わる脳領域を探り、神経生理学的機序を解明することである。研究1では老いを連想させる老い語と連想させない非老い語を選定し、実験的に老性自覚を引き起こす課題を考案した。研究2ではfMRIによって課題遂行中の脳活動を測定した。自己認識過程に関わる内側前頭前皮質などの脳領域と老性自覚の関係に注目した解析デザインを考案した。また、主観的な老いの評価と身体・認知機能における客観的な老いとの関連も検討したところ、主観的老いと客観的老いとの関連は示されなかったが、主観的評価として実年齢よりも若いと感じることが主観的幸福感と関連することが示された。
老性自覚は心身両面から高齢者の健康に影響しうる重大な因子とされているが、本研究のように高齢者が自己の老いを認識する時にどのような神経機序に基づいた認知処理が行われているかについて、fMRIを用いた脳機能測定によって検討した研究はこれまでにない。また、老性自覚の脳活動と、主観的な老いの評価や客観的な身体・認知機能における老いの両面から測定して、老性自覚の個人差やその心身の健康に対する影響が生じる神経基盤モデルを構築し得た事は、高齢者のsuccessful agingを目指す上で、老性自覚という認知活動を考慮に入れた介入方法の提案に役立つと期待される。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 7件)
Developmental Psychology
巻: 54 号: 3 ページ: 536-542
10.1037/dev0000441