研究課題
特別研究員奨励費
多くの脊椎動物は二対の体肢(前肢と後肢)をもつが,前肢と後肢は同じ進化過程で獲得されたとは限らない。基脚-中脚-末脚部は,前肢と後肢とで比較的類似性が高いが,他方,肢帯については肩帯と腰帯で異なる点が多い。本研究ではまず,円口類および軟骨魚類の総排出腔まわりの筋や腹鰭筋の発生機構を比較することにより,「骨盤肢帯は,脊椎動物の祖先動物が元来もっていた総排出腔括約筋の発生機構と関連して獲得された」のかどうかを検証している。筋前駆細胞の由来および神経支配の比較と同様に,羊膜類で後肢の発生に重要であるとされる遺伝子を中心に,円口類や軟骨魚類における遺伝子発現解析を行っている。本研究では,脊椎動物の運動機能や複雑な生活環,社会行動に必須な形態の初期進化を明らかにすることを目的とした。トラザメ胚を用いた筋前駆細胞の脱上皮化および遊走に必要な遺伝子発現の解析,ヤツメウナギ幼生の培養および組織の観察,ヌタウナギ胚の組織切片作製法の検討および遺伝子発現解析,ヌタウナギ胚のサンプリングを昨年度に引き続き実施し,研究を進展させた。また,今年度はトラザメの成体を研究所の水槽に搬入するために茨城県に出向き,地元の漁業者の協力のもとサンプリングを実施した。さらに,先行研究で筋前駆細胞の遊走に関わるとされるLbx1相同遺伝子をヌタウナギでも単離し,in situ ハイブリダイゼーションにより総排出孔周辺領域において筋前駆細胞への発現を解析した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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