研究課題/領域番号 |
16J00637
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
言語学
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
小林 亮一朗 上智大学, 言語科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2017年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2017年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2016年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 等位構造 / 比較統辞論 / 英語学 / 言語学 |
研究実績の概要 |
等位構造の研究に関しては、継続して「とか」「たり」「や」と言った小辞の、意味論的分析をアリゾナ大学のRyan Walter Smith氏と進めた。Triple A 4(於 イェーテボリ大学), SICOGG 19(於 ソウル国立大学)にてその成果を公表し、発展させたものを論文として出版した(Proceedings of SuB 22他)。さらに、日英語におけるfrom-to構文の記述を進め、等位構造制約や全域的移動などの等位接続に類似する特性について観察した。その成果をJapanese/Korean Linguistics 25(於 ハワイ大学 マノア校)と日本英語学会第35回大会(於 金沢大学)において発表し、助言を受けた。 さらに日本語における(i)複合動詞、(ii)間接受身文、(iii)音形を持たない空項、そして(iv)一対他の対応が見られる複数の構文を分析し、これらが「なぜ日本語に存在し、英語に存在しないのか」という問いに取り組んだ。研究指導を通し、これらの成果をまとめる骨子となる博士論文での章の構成を考え、10月に博士論文計画案審査に合格をした。 (i)昨年度の学会発表を元に、査読を経て国際学会プロシーディングス論文として、その成果を発表した。 (ii)昨年度主催したワークショップ参加者からの助言を元に、分析の抜本的な見直しを行っている最中である。 (iii)初歩的ではあるが成果を日本英語学会第10回国際春季フォーラム(於 明治学院大学)において公表し、今後の研究に対する複数の助言を受けた。 (iv)具体的に(a) 多重主格構文、(b) かきまぜ文、(c) 多重焦点分裂文、(d) 多重比較構文の現象に関して、ラベル理論の枠組みから説明を試みた。これら(a-d)は、全てラベル付けに対して問題と成りうる{XP, YP}構造を形成する。日本語におけるφ素性(数、人称、性)一致現象の欠如により、移送(Transfer)が英語よりも自由に適用可能であるという分析を提案し、WAFL 13 (於 国際基督教大学)にてポスター発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では等位構造のみに焦点をあて、日英語の比較統辞論研究を行う予定であったが、初年度より関連する他の「日本語に豊かに存在し、英語(などの他言語)には存在しない表現」にも観察対象を拡げることとなった。今年度も引き続き、研究成果を複数の国際学会・国内学会で発表し、助言を得ることができた。これらの助言と研究指導を通じて、おおむね順調に研究計画を遂行することができた。 海外研究者との共同研究も継続し、日本語の等位接続詞に関する記述的研究を発展させ、意味論的分析を提案し、国際学会にて成果を発表した。個人の研究に関しても、共同研究者とのディスカッションを通じて、アドバイスを得ることができた。 主にこれらの理由から、2017年度の本研究課題の進捗状況について、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
4月からの常勤職への就職(2018年度末博士号取得見込み)に伴い、3月末日をもって特別研究員(DC1)を辞退した。今年度は当初の計画以上に研究が進展し、日英語の等位接続表現の比較に加え、博士論文の構想とケーススタディに本格的に注力した。今後も引き続き、2018年度末博士号取得を目指し、これまでの成果を元に、記述のさらなる精緻化と上述の現象群の説明に関する理論の考察を進める。博士論文の執筆を進めるとともに、等位接続との類似性が指摘される他の構文、コピュラ文や寄生空所構文などにも観察を拡げる計画である。
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