研究課題
特別研究員奨励費
今年度は予定通り、ツル植物2種(イワガラミ、ツルマサキ)の樹木に取り付く個体のクローン構造と、それに加えてフジを含めた3種の林床のクローン構造の解明を行った。そのために必要なイワガラミとツルマサキのDNAマーカーを新たに開発し、その結果をまとめ、Silvae Genetica誌に投稿し受理された。遺伝解析の結果、樹木に取り付くイワガラミとツルマサキはフジよりも小さいクローン構造を形成していることがわかった。また、林床個体のクローン構造を明らかにするために、10m × 120mのベルトトランセクトをプロット中央に設置し、サンプリングを行った。遺伝解析の結果、フジの林床個体のうちその大部分がクローン繁殖由来であることがわかった。これまで明らかにしたフジ、イワガラミ、ツルマサキの3種の樹木に取り付いた個体のクローン情報と今回明らかにした林床のクローン構造を比較することで、登はん個体が林床に小型個体を待機させているかを検証した。その結果、フジのクローン繁殖由来の林床個体は樹木に取り付く個体と遺伝的に同一な個体(親株)が周囲に分布した一方で、イワガラミとツルマサキの場合はほぼ親株は周囲に存在しないことがわかった。このため、フジは林床において積極的に匍匐枝を通じてクローン繁殖由来の小型個体を展開していることがわかった。また、イワガラミとツルマサキは登はん個体が林床個体を待機させているとは言えないことがわかった。また、フジにおいてはかく乱への応答にクローン繁殖が寄与しているのかを検証した。その結果、過去のかく乱とクローン繁殖には相関はみられず、むしろ種子繁殖由来と思われる個体がかく乱に応答していると考えられた。これらの研究成果は日本森林学会およびアメリカ生態学会でポスター発表を行った。なお、去年度投稿中であった論文は今年度Annals of Botany誌に受理された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Silvae Genetica
巻: 66 号: 1 ページ: 40-42
10.1515/sg-2017-0006
Annals of Botany
巻: 121 号: 2 ページ: 359-365
10.1093/aob/mcx153
巻: 65 号: 1 ページ: 55-58
10.1515/sg-2016-0007
Silavae Genetica
巻: 印刷中
Plant Ecology
巻: 217 号: 10 ページ: 1171-1182
10.1007/s11258-016-0641-6
https://sites.google.com/view/morih/publications
https://sites.google.com/site/hidekimoriliana/publications