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本研究では独自に開発・確立した「ナノ固相反応法」と「エピタキシャル的表面修飾」を駆使して高分子錯体ナノ結晶の作製および特異な表面修飾を行い、エンドキャップ分子が結晶表面で協同的構造変化することで、低閾値かつ高感度に光物性制御できる高分子錯体ナノ結晶材料の創出を可能とした。
「ナノ固相反応法」とは、予め「再沈法」で作製したビピリジン配位子ナノ結晶分散系を用いて錯化反応を行うもので、難溶性高分子錯体の合成とナノ結晶化を同時に達成した。この手法は他の類縁体配位子でも適用可能であった。得られた高分子錯体ナノ結晶の結晶方位をTEM観察および電子線回折測定により決定したところ、ナノ結晶の特定のファセット(010)面に高分子末端が露出していることが示唆された。実際に、表面に配位不飽和な鉄イオンを露出したプルシアンブルー（PB）ナノ粒子が高分子錯体ナノ結晶の (010)面に選択的に吸着することを確認した。すなわち、鉄イオンと配位結合可能なビピリジン配位子が高分子末端としてナノ結晶表面に露出しており、PBナノ粒子をプローブとしてナノ結晶表面の化学構造の“可視化”に成功した。
続いて、「エピタキシャル的表面修飾」による更なる機能化に着想した。ナノ結晶表面に露出したビピリジン配位子をハロゲン化アルキルにより四級化した結果、反応前後で高分子錯体ナノ結晶の結晶構造は変化せず、発光波長が短波長シフトすることを見出した。すなわち結晶表面の化学的改質が高分子錯体ナノ結晶の光学特性に影響を及ぼすことを意味する。さらに、アゾ系フォトクロミック部位を有するハロゲン化アルキルでナノ結晶表面を密に修飾すると、フォトクロミズムをトリガーとした表面修飾分子の協同的配向・配列変化が可能となり、高分子錯体ナノ結晶の光学特性を非線形制御する道筋が付けられた。
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