研究課題
特別研究員奨励費
本年度は昨年度に引き続き南アフリカ天文台・サザーランド観測所の IRSF望遠鏡や岡山天体物理観測所に設置されている赤外線望遠鏡IR-TMTを用いて天の川銀河の銀河面や大小マゼラン雲に存在するWolf-Rayet星のモニター観測を行った。観測の目的は、食による減光の有無を調べ、Wolf-Rayet星の近接連星の割合を調べ、Wolf-Rayet星を形成するために必要な質量損失を引き起こす主要因が近接連星系の中の質量のはぎ取りであるかどうかを検証することである。例年にない悪天候や装置のトラブルが発生したために、取得できたデータの量が当初の想定を下回った。そのため昨年度に取得したデータを含めて一通りデータ解析を行ったが、2年間の研究期間では統計的に有意な結果を得られるサンプル数を集めることはできなかった。しかしながら、今後順調にデータを取得することができれば、1-2年程度で定量的な制限をつけることができるようになると期待される。また、長期間サザーランド観測所に滞在したことにより、南アフリカ共和国の天文学者を含めた共同研究に発展し、滞在中に観測を担当するなどして、1本の共著の論文が出版された。さらに、銀河面や大小マゼラン雲といった恒星の多い領域を観測していたこともあり、副産物としてこれらの中にあるレッドクランプ星のデータも得ることができた。レッドクランプ星は天体まで距離を測るために使われる標準光源と呼ばれる天体の一つであり、その光度を正確に測定することは正確に距離を知ることにつながり、天文学のさまざまな基本的な量を知る上で非常に重要である。今回得られたデータにより、レッドクランプ星の光度の金属量や年齢への依存性、絶対値の情報が得られている。これらの結果は天文学会の年会等の研究会で発表した他、共同研究者の間で論文のドラフトを回覧中であり、近いうちに投稿予定である。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 469 号: 4 ページ: 4949-4956
10.1093/mnras/stx1213