研究課題
特別研究員奨励費
本研究では,X線形状計測法を利用したnm精度のX線ミラー作製とそれを応用したX線顕微鏡の開発を目的としている.本年度は開発した高精度X線ミラーおよび一体型新規X線結像ミラー光学系を用いて①全長2mの硬X線結像型顕微鏡の開発および実証,②コンピュータ断層撮影による3次元イメージング応用,③X線多層膜反射を用いた高空間分解能化,に取り組んだ.1では,独自の光学系の特性を活かし,観察対象からX線カメラまでが約2mと非常に汎用性が高い配置のうちに,これまで不可能であった高倍率・高分解能な結像型X線顕微鏡の実証に成功した.実験結果から,線幅50nm以下の空間分解能,約7keVにわたる広いエネルギー領域にて顕微観察が可能な優れた色収差特性,また30時間以上像特性が変化しない高安定性が確認された.これにより各種X線分析技術との融合(高分解能分光イメージング)への適正が実証され,開発したX線顕微鏡の有用性が示された.2では,開発したX線顕微鏡の高安定性・スループットの高さ,およびX線の高透過力を生かし,厚いシリコン基板上のタングステンドット(最小構造100nm)などの3次元観察を行った.このような厚みを持った試料の内部構造を高分解能に3次元観察する技術は,他の顕微法と比べてX線顕微鏡の顕著な特性であると言え,学術・産業領域に広く貢献可能であることが示された.3では,多層膜反射により臨界角の限界を超えた空間分解能を達成可能である点に着目し,20nmの分解能を目標としたX線結像光学素子の開発に取り組んだ.適切な光学設計および多層膜パラメータ設計を行い,X線のエネルギー8keVにおいて半値幅15nmの点拡がり関数を有する結像ミラーの開発に成功した.実証実験においては,明瞭な像質とともに30nm構造の解像に成功し,硬X線領域における多層膜結像ミラーの有用性を明らかにした.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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