研究課題
特別研究員奨励費
前年度,回復早期段階における低頻度疲労の原因は,筋小胞体のCa2+放出機能の低下にあることを明らかにした.そこで,本年度は,低頻度疲労に伴う筋小胞体のCa2+放出機能の低下のメカニズムを筋小胞体からのCa2+漏出に着目して検討する(研究A)とともに,活性酸素種に着目して低頻度疲労の対処法(研究B)を検討した.研究Aでは何も処置していないラットを用いて,研究Bではラットを2群に分け,片方の群には収縮を負荷する1時間前に生理食塩水を腹腔内投与し,もう一方の群には同様のタイミングで抗酸化剤(EUK-134)を投与した.どちらの実験においても前年度と同様のモデルを用いて,低頻度疲労を誘起した.ラットの片脚の腓腹筋に収縮を負荷し,収縮終了30分後において筋を摘出し,スキンドファイバーを用いた解析に供した.研究Aの結果,安静脚と比較し刺激脚では,1) 筋小胞体に含まれるCa2+含有量が低下すること,2) 筋小胞体からのCa2+漏出量が増加すること,3) ジヒドロピリジン(DHPR)からリアノジン受容体へのシグナルを高めると,両脚のCa2+漏出量は同等となることが明らかとなった.これらの結果は,低頻度疲労に伴う筋小胞体Ca2+放出機能低下の原因の一つは,筋小胞体のCa2+含有量の低下にあり,それはDHPRからのシグナルが高まることに起因することを示す.研究Bの結果,1) EUK-134を投与したとしても低頻度疲労の程度は変わらないこと,2) EUK-134投与群では筋小胞体Ca2+放出機能の低下が軽減されること,3) 非投与群では筋原線維のCa2+感受性が増加するが,EUK-134投与群ではその効果がなくなることが明らかとなった.これらの結果は,抗酸化剤を投与したとしても低頻度疲労が軽減されないこと,それは抗酸化によるプラスの効果とマイナスの効果が相殺するためであることが示された.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件)
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