研究課題
特別研究員奨励費
本研究では強磁場発生マグネット応用へ向けた、ナノ構造制御ピンニングセンター導入REBCO超伝導線材の磁場中臨界電流特性向上を目的とした。特に測定温度50 K以下の低い測定温度における強磁場中臨界電流特性向上及びその磁束ピンニング機構を検討した。パルスレーザー蒸着法によりBaHfO3(BHO)不純物添加SmBa2Cu3Oy(SmBCO)超伝導線材を作製し、その臨界電流特性を評価した。作製時における成膜環境によりBHOピンニングセンターおよび超伝導母相内の結晶欠陥の数密度、サイズ、形状などを詳細に制御することで臨界電流特性の向上を実現した。本研究で作製したBHO添加SmBCO超伝導膜は、測定温度4.2 Kにおいて世界記録(~1.7 TN/m3)に匹敵する巨視的ピン力密度1.6 TN/m3を示した(APL Materials 4 (2016) 016102)。同試料の測定温度40 K、印加磁場3 Tにおける様々な磁場印加角度に対する臨界電流密度の最小値は6.4 MA/cm2であり、この値は既に実用化されているNb-Ti超伝導線材の測定温度4.2 Kにおける臨界電流密度の12倍以上高い値である。有効質量モデルにより、測定温度4.2 Kにおいては、量子化磁束のコアの直径より微細な欠陥が主要なピンニングセンターであることを明らかにした。また、その微細な欠陥はBHOピンニングセンターにより高密度に誘起されることが示唆された。本研究では強磁場発生超伝導マグネットへ向けたREBCO高温超伝導線材の結晶成長プロセス制御による臨界電流特性の向上を行い、またその磁束ピンニング現象解明に関する新たな知見を得た。本研究で得られた技術により、強磁場発生超伝導マグネットの大幅な低コスト・コンパクト化が実現されると考えられる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件)
IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 27 号: 4 ページ: 8001505-8001505
10.1109/tasc.2016.2638543
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 56 号: 1 ページ: 015601-015601
10.7567/jjap.56.015601
巻: 27 号: 4 ページ: 800805-800805
10.1109/tasc.2016.2646838
Journal of Applied Physics
巻: 120 号: 10 ページ: 103902-103902
10.1063/1.4962398