研究課題
特別研究員奨励費
近年、ペプチドやタンパク質にフォトクロミック分子を導入し、その構造・機能の光制御が精力的に行われている。我々は、トマトブッシースタントウィルスの内部骨格モチーフであるβ-Annulus構造を形成する24残基ペプチド が、水中で30-50 nmのナノカプセル(人工ウイルスキャプシド)を形成することを明らかにしている。本研究課題では、主鎖にアゾベンゼンを導入したβ-Annulusペプチド(β-annulus-15V16A-azo peptide)を合成し、その光異性化による自己集合挙動の変化を目指した。アゾベンゼンの光異性化によってペプチドの集合体の形態変化を動的光散乱測定(DLS)とTEM観察によって評価した。UV光照射前のペプチド水溶液(25 μM)から、未修飾の人工ウイルスキャプシドと同程度の約50 nmの球状集合体が確認された。一方、この水溶液にUV光照射すると、約1 μmの凝集体が確認された。この結果から、光照射による自己集合挙動の変化が示唆された。また、蛍光相関分光法(FCS)によりβ-annulus-15V16A-azo peptideからなる人工ウイルスキャプシドの内包挙動、光照射による放出挙動を評価した。ペプチド粉末にFITC-dextran水溶液を加え、FCS測定を行ったところ、ペプチド濃度が50 μM以上で拡散時間の増大がみられた。得られた拡散時間から粒径を算出したところ、人工ウイルスキャプシドと同程度の粒径が得られ、デキストランの内包が確認された。一方、UV照射後、FCS曲線は2成分の式でフィッティングでき、人工ウイルスキャプシドから放出されたFITC-デキストラン由来の拡散時間の速い成分と内包されたままの遅い成分が得られた。このことから、UV照射によって56%程度のデキストランが人工ウイルスキャプシドから放出されたことが確認された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Organic and Biomolecular Chemistry
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