研究課題
特別研究員奨励費
研究の全体的な目標は朝鮮語の歴史を幅広い視点から捉えることである。そのため、文献にもとづく研究と方言学からの接近という2通りの方法をとった。まず、文献にもとづく研究であるが、近世朝鮮語において動詞の過去と関連があるとされる諸形式が具体的にどのように使い分けられていたか、という点について、文献ごとに出例を整理し考察を行った。対象としたのは18世紀後半の資料である『闡義昭鑑諺解』、『十九史略諺解』、『明義録諺解』、『続明義録諺解』、『五倫行實圖』、『種德新編諺解』などの文献である。これらの資料について、当該形式の全用例を終止形と接続形に分けた上で考察・比較することで、各形式の特徴や相違点、各文献の特徴や相違点などをより具体的に明らかにするよう努めた。研究結果のうち、『種徳新編諺解』に関する部分を東京外国語大学大学院の『言語・地域文化研究』(24号)において発表した。発表した内容と、それ以外の文献に関する内容を合わせて発表するべく、博士論文を執筆中である。次に、中国・延辺大学と連携し、中国吉林省延吉市において朝鮮語の方言に関するフィールドワークを行った。これは、方言学の歴史言語学との関わりを考慮し、得られた知見を朝鮮語史研究に活かしたいというねらいにもとづいたものである。また、博士課程在学中からフィールドワークやその準備を行っておくことで、将来の研究の幅を広げることにもつながると思われる。なお、文献にもとづく近世朝鮮語の研究は資料さえ入手できればあまり場所を選ばないのに対し、フィールドワークは基本的には現地に赴く必要がある。したがってこの研究では、現地に滞在して文献にもとづく研究を行いつつ、フィールドワークを並行して実施するという方法をとった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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言語・地域文化研究 (Language, area and culture studies)
巻: 24 ページ: 177-194
譯學と譯學書(原題朝鮮語)
巻: 7 ページ: 109-130